優しいカレの切ない隠し事
パソコンのキーボードを高速で打つ時の圭介は、ホント話かけにくい。
仕事モードなのか、実は機嫌が悪いのか。
ドキドキする…。
圭介に話かけるのに、こんな緊張するのは初めてだ。
「あの、課長」
「んー?何?」
呼びかけると、圭介は目もくれずに返事をした。
仕事に夢中だからなのか、相手がわたしだからなのか、その素っ気なさに少し傷つく。
「今夜、花井旅館の接待に呼ばれてるんです。行ってもいいですよね?」
また反対されるかな…?
緊張で答えを待っていると、意外にもアッサリとOKしてくれたのだった。
「別にいいよ。行ってらっしゃい」