優しいカレの切ない隠し事


ーーーー
ーーー

相変わらず、大きな実家…。

純和風の邸宅は、わたしが訪れていた時と変わらない。

緊張で立ち止まるわたしに、聖也は離れを案内した。

「着替えだけだから、離れで十分。だから、母さんはいないよ。安心したか?」

いたずらっ子の様な笑みを浮かべ、離れのドアの鍵を開けている。

「もう…!わざと含みのある言い方をしたんだ?」

「そうだよ。カマかけてみた。ていうかさ、母さんに話したんだよ。陽菜と再会したって」

「えっ!?お母さんに?」

「あっ、母さんと同じ顔したな。母さんも、今の陽菜みたいに驚いてた。どちらかというと、気まずそうな驚き方だったな」

ヤバイじゃない。

聖也は何かを勘付いている。

それを今、わたしで確かめようとしてるんだわ。
< 108 / 192 >

この作品をシェア

pagetop