優しいカレの切ない隠し事


わたしの申し出を、圭介は優しく微笑み頷くと立ち上がった。

そして、別室へと向かったのだった。

「何?仕事のことじゃないんだろ?」

さすが、圭介は分かっている。

仕事中に呼び出したのに、迷惑な様子はない。

「うん。あの…。わたしたち、このままじゃいけないと思って。今夜ね、聖也に会うの。きちんとケジメをつけるから、圭介とも話しがしたいと思って…」

3年前のことを話せば、きっと聖也も心のつかえが取れるはず。

わたしはやっぱり、圭介を好きな気持ちに変わりはないのだから、例え一からのやり直しでも構わない。

元のわたしたちに戻りたかった。

「分かった。オレはいつだっていいから、陽菜が話したくなったら声をかけて」

「うん。ありがとう」

圭介は優しく微笑むと、先に部屋を出て行った。

それにしても、あっさりOKしてくれたのはちょっと意外。

「よし!頑張るぞ!」

最近、仕事も私情を挟み過ぎだし、ここら辺で気合いの入れ直しだわ。
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