優しいカレの切ない隠し事
でもこれで、聖也の中で整理がついたらいいな…。
と思ったのに、
「母さん、絶対に許さねえ。なあ、陽菜だって、別れたくなかったんだろ?オレたち、別れる必要なかったんだよな?」
熱くなる聖也に、こちらは戸惑うばかりだ。
「せ、聖也?」
言葉が続かない。
「だってそうだろ?ほとんど脅しじゃないか。もしそんなことがなければ、オレたちは今頃、当たり前の様に一緒にいたかもしれないんだぞ」
「で、でもね、わたしたちは所詮住む世界が違ったのよ。聖也はこれから海外進出もする旅館の跡取り。わたしとは、住む世界が違うの」
「何が違うんだよ!陽菜はまさか、納得してるんじゃないよな?」
聖也の勢いに圧倒されて、息を飲むだけだ。
「陽菜、松山課長と何かあったんだろ?なあ、もう一度考え直してくれないか?オレとのこと」
「えっ!?わたし、今夜は3年前のことにケジメをつけようと思って来たの。やり直すつもりじゃなかったのよ」
「ケジメなんてつけられるかよ。無理矢理別れさせられておいて」
思わぬ展開に、戸惑ってしまう。
だけど聖也は、ますます熱くなるのだった。