優しいカレの切ない隠し事


あの日、偶然二人を見た話をすると、圭介は頭を下げた。

「ごめん、陽菜。本当にごめん…」

それは、今まで見たことのない圭介の姿で、声は震えている。

そんな姿に、わたしは無意識に首を横に振っていた。

「もう謝らないで。訳を教えてよ。圭介は栞里さんが好きなの?」

「違う。もちろん、栞里とは付き合ってたことはあるんだ。別れたのは、陽菜と付き合う一年前くらいで、二年くらい付き合ってた」

「やっぱり、付き合ってたんだ…」

予想してたとはいえ、直接聞くとかなりショックだ。

「ねえ、圭介。何でキスしてたの?」

それを一番知りたい。

すると、圭介は少しだけ顔を上げてわたしを見た。

「キスをする前、オレは陽菜と聖也さんのことを栞里にグチってたんだ」

「わたしと聖也の?」
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