優しいカレの切ない隠し事


「そう。聖也さんが陽菜の元カレだって知って、それも陽菜に未練がある風だったろ?オレには、それが耐えられなくて…」

「圭介?」

なんか変。

今までの圭介なら、もう少し余裕を持ちそうなのに。

「どうしたの、圭介?なんか変じゃない?」

すると突然、圭介はわたしを抱きしめたのだった。

「もう、あんな思いをするのが嫌でさ」

「あんな思い?」

一体、何があったっていうのよ。

圭介はさらに強く抱きしめた後、呟くように言ったのだった。

「栞里は、涼太に寝取られたんだ」

「えっ?涼太さんに寝取られた…?」

それは、あまりにも衝撃的で、我が耳を疑った。

寝取られた?

じゃあ、圭介は栞里さんと、別れたくて別れたわけじゃなかったってこと?

まるで、わたしと聖也みたいに。
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