優しいカレの切ない隠し事
気になる…けど、聞けない過去
「はあ、はあ…」
ベッドへ寝転がった圭介は、大きく胸で息をしている。
その胸へ顔を埋めたわたしは、同じく呼吸を整えた。
そんなわたしの頭を、圭介は優しく撫でてくれる。
「圭介…、好き」
夢見心地でそう言うと、圭介は小さく吹き出した。
「知ってるよ。陽菜はセックスをすると、必ずそう言うよな」
「そうだった?全然、自覚なかったよ。きっと、幸せを感じるからかも」
「セックスだけに?」
圭介のこの質問は、わざと意地悪く言っているって分かってる。
わたしが否定すると分かって、聞いてくるんだからズルイ。
「違うに決まってるでしょ?セックスもってこと。だって、この時だけは圭介を独り占め出来るんだもん」
「何言ってんだよ。いつだって、オレは陽菜のものだよ」
額へのキスは、わたしの心を温かくした。
些細なことが幸せだけど、常にどこかで気になっていることがある。
それは、圭介の過去のこと。