優しいカレの切ない隠し事
それはきっと、栞里さんにそう言っていれば、寂しい思いをさせることはなかった、それが言いたいんだと思う。
そうすれば、涼太さんに奪われることもなかったと…。
だとしたら、わたしと同棲したいって言っているのは、不安もあるからなのかな。
さっき、栞里さんの二の舞を踏みたくないって言ってたし。
「圭介、わたしだって圭介の夢を応援したいよ?足を引っ張りたくなんかないもん」
「どうしたんだよ急に」
圭介は笑いながら、水道を締める。
洗い物を終え、わたしを見つめた。
「栞里さんだって言ってたでしょ?圭介の夢を応援してるって。圭介はちゃんと分かってるって答えてた」
「ああ、答えたよ。栞里の気持ちは分かってるから。悪いのは全部オレなんだ」
「だったら、わたしの言葉も信じて。夢を応援してるって言葉を」