優しいカレの切ない隠し事
ベッドルームの窓を開けても寒くない。
いつの間にか季節は、また一つ進んでいたみたいだ。
「ロンドンの話なんだけどさ、まだちゃんと決まったわけじゃないんだ。本社でも、涼太が候補にあるから」
「えっ!?」
ベッドで圭介の胸に顔を埋めていたわたしは、思わずその顔を上げた。
「ロンドン勤務って、そんなに競い合うものなの?」
「そうだよ。みんなが行けれるものじゃないし、向こうの支社だって空きがあるわけじゃないから」
「そうなんだ…。じゃあ、どうすれば圭介が選ばれるの?わたし、力になりたい」
その為なら、どんなことだってしたい。
力になりたいって、心底思う。
すると圭介は、わたしを真剣な表情で見つめたのだった。
「力になりたいって、どんな風に?オレがロンドンに行っても、陽菜は平気なのか?」