優しいカレの切ない隠し事
卑怯な交換条件
引きとめようとする圭介を振り切り、マンションを出たわたしが真っ先にしたことは…。
聖也に電話をすることだった。
「もしもし陽菜?どうしたんだよ、こんな朝早くから」
最近は、連絡を取り合っていなかったけど、聖也はいつもの調子で電話に出た。
「お願い、聖也。時間を取ってもらえないかな?話があるの」
「…いいよ。息切れてるな。相当急ぎってことか。じゃあ、あと1時間後に来て」
「うん。ありがとう」
あれこれ考えてる場合じゃない。
プロポーズとか言ってる場合でもない。
とにかく、圭介の為に頑張ってから考えればいい。
だって、圭介の夢を誰より応援したいと思ってるのは、栞里さんじゃない。
わたしだから。