優しいカレの切ない隠し事


「ロンドン支社との契約…」

「そうだよ。オレは松山課長を買ってるし、それくらい何とでもするよ。ただし、条件を飲んでくれたらだけど」

ロンドン支社との契約が圭介のお手柄になれば、格段に海外勤務の可能性が上がるわけで…。

「でも、それで別れるなんて嫌よ…」

「何で?だいたい、語学力のない陽菜がついて行っても、足手まといなだけだろ?」

「え?足手まとい…?」

「だってそうだろ?仕事なんて出来ないじゃないか。課長に余計な心配を増やさせるだけだと思うよ」

そんな…。

ダメ、まともに受け取っちゃ。

これは聖也の挑発よ。

そう思うのに、気になる自分もいる。

確かに、ついて行ってどうするんだろう。

英語もロクに話せなくて、生活なんて出来やしない。

「陽菜次第だよ。彼氏の夢を叶えるかどうかは」
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