優しいカレの切ない隠し事
栞里さんが戻ってきたのは、それから40分ほど経った頃で、入れ違いにわたしが圭介に呼ばれたのだった。
そして涼太さんはその後、圭介には目もくれず、オフィスを後にしたのだった。
「花井、残念だけど聖也さんのところの取材は、今を持って終わりだ」
デスクの圭介は、険しい顔で見上げている。
「な、何でですか!?」
やっぱり、ダメだったの?
だとしても、そんな強引なやり方が、まかり通るなんて信じられない。
不快感をあらわにするわたしに、圭介は肩を落とした。
「聖也さんからのクレームだよ。オレたちがプライベートで恋人同士なのが公私混同で嫌だって。担当を変えなければ、取材そのものを出入り禁止にするって言ったらしいよ」
「そんな…」
あまりにも、やり方が汚すぎる。
「だけど、課長。それじゃあ、あんまりにも…」
反論しようとした言葉を、圭介は遮った。
「決まったことだ」