優しいカレの切ない隠し事
カミングアウト
その晩、圭介のマンションに一人帰ったわたしは、書斎で栞里さんと写った写真を見つけてしまった。
初姫神社の資料を借りようと、前もって部屋に入る許可は貰っていたけど、まさか写真を見つけるなんて思わなかったからビックリだ。
「楽しそう…」
写真はバックが海になっていて、寄り添う二人は本当に幸せそう。
「これを大事に持ってるってことは、圭介はきっと栞里さんを忘れきれてないんだろうな」
そっと引き出しにしまい書斎を出た時、タイミング良く圭介が帰ってきた。
「お帰り、圭介」
「ただいま。資料、見つかった?」
「うん。ありがとう」
やっぱり疲れてるみたい。
いつもなら、笑顔を向けてくれる圭介が、今日は表情が曇ってる。
「圭介、ごめんね」
そりゃあ、表情も曇るわよね。
今回の聖也の件は、はっきり言って逆恨みだ。
そして、その原因はわたし。
そのせいで、もし圭介のロンドン行きがダメになったら…?
「ごめんて、何に対して謝ってるんだ?」
圭介は、少し怖い顔でわたしを見つめてきたのだった。