優しいカレの切ない隠し事


「気にならないの、圭介?栞里さん、別れるかもしれないんだよ?」

写真の二人が頭をちらつく。

不安とか、そういう気持ちとは違うけど、思わず聞いてしまっていた。

「気にならないと言えばウソだよ。今でも栞里の幸せは、心底願ってるから」

「そうなんだ…」

ヤキモチ半分、同情半分。

二人の別れの事情を知った以上、どうしても責めきれない。

「だけど、今は栞里のことじゃないだろ?陽菜、お前はどうなんだよ。何か隠してないか?」

「えっ!?隠してるって、何を!?」

「だから、それを聞いてるんだろ?」

ジリジリと近付く圭介に、後ずさりするわたしは、気が付いたら壁際に追い込まれていた。

「隠してるよな?ハッキリ言えよ。オレ、陽菜のことになると理性もなくなる」

さっきのヤキモチはどこへやら。

わたしを逃がさまいと体を塞ぐ様に壁に手を突いた圭介に、たまらなくドキドキしていた。
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