優しいカレの切ない隠し事
「初姫神社?」
「そう。プライベートで行こうって約束してたろ?」
「うん。もちろん覚えてるけど」
言い出しにくくて、ずっと口には出せなかったけど、ちゃんと覚えてくれてたんだ。
「そうと決まれば、さっそく行こう。今日は、暖かくていい天気だから」
圭介に手を引かれ、乗り込んだ車は、颯爽と初姫神社へ向かった。
「多いな、人が」
さすが口コミで広がってるだけあり、最初に来た頃に比べ、人の数が増えている。
わたしたちは手を繋ぐと、境内から少し離れた場所へ移った。
「ここなら、ゆっくり話せるな」
周りは木に覆われ、陽も入ってこないからか涼しい。
人の声も、ここからだと遠くに聞こえる。
圭介はわたしと向き合うと、口角を少し上げて笑顔を浮かべた。
「陽菜、栞里のことでは本当にごめん。隠してたのは、誤魔化す為じゃない。知られて嫌われるのが怖かったからなんだ」
「うん。分かってるよ。本当にもういいから」