優しいカレの切ない隠し事


圭介の切ない過去を話させてしまっただけで後悔なのに。

「ありがとう。それだけ陽菜を失いたくなかった。それは、今でも変わらないから」

「うん。わたしもだよ。圭介にはずっと側にいて欲しいもん」

そう言ったわたしの手を、圭介は優しく握った。

「夢はまた、陽菜と叶える為に頑張るから。これからは、オレの奥さんとして、側にいてくれないかな?」

「えっ?それって…」

「結婚して欲しいんだ」

優しい笑顔の圭介が涙で滲む。

ずっと欲しかった言葉は、こんなにもわたしを感動させるものだったなんて…。

「うん、ありがとう。わたしの方こそ、ずっと側にいてね」

思わず胸に飛び込んだわたしを、圭介は優しく抱きしめてくれた。

「これからも、ずっと一緒だ。どんなことがあっても、絶対に離さないから」

「うん。離さないで…」

圭介の今も未来も、そして過去さえも、全てを受け入れるから。

わたしの全ても受け入れて。

そして、今度こそ夢を叶えようね。

次こそは、ここから圭介の未来は始まるんだよ。

わたしと一緒に、いつまでも…。
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