優しいカレの切ない隠し事
どうして二人が同じ反応をするの?
「圭介は何でもないとか言ってましたけど、栞里さんもその反応なら、何でもないってこと、ないですよね?」
わたしの言葉に、栞里さんが息を飲んだのが分かる。
「あのね、陽菜ちゃん。二人はライバル関係なのよ。だから、ちょっとビックリしただけ」
「ライバル関係って、圭介と涼太さんがですか?」
「そう。二人は同期で、共に本社勤務。そして、将来は海外勤務をしたい、いわば野心家の二人だから」
「はぁ…」
小さく微笑んだ栞里さんは、その後目をそらした。
「研修頑張ってね、陽菜ちゃん。今夜は徹夜よ」
「はい、そうですよね。頑張ります」
二人がライバル同士だなんて、全然知らなかった。
それならそれで、圭介が話してくれたっていいのに。
完全には納得出来ないけど、気にするだけムダな気もする。
だから、この話はもう気にしないことにしたのだった。