優しいカレの切ない隠し事
親会社の 本社は、オフィス街のど真ん中にあり、近代的なグレーのビルの3フロア分を取っていた。
50階建てのビルで、研修場所は45階にある。
眺めはもちろんいいけれど、あまりに高すぎて、周りの建物が小さく見えるほどだ。
「『陽菜ちゃん』だよね?栞里と圭介から、話は聞いてるよ」
大きな窓のある研修室は、6人程度が入れる広さで、解放感たっぷりの明るい部屋になっている。
そこの長テーブルで待っていると、涼太さんが入ってきたのだった。
「あの、よろしくお願いします!」
慌てて立ち上がると、頭を下げた。
それにしても、初めて見る涼太さんは、想像以上にカッコイイ。
圭介と同じくらいに背が高く、体つきもガッシリとしている。
ハッキリとした顔立ちで、圭介が甘いルックスなら、涼太さんはワイルドな雰囲気だ。
これなら、二人がライバルなのも頷ける。
こんなに何もかも張り合える同期も、そうはいないだろうから。