優しいカレの切ない隠し事


思わず目が釘付けになっていると、涼太さんが、はにかんだ笑顔を浮かべた。

笑うとワイルドな雰囲気に優しさが加わり、ドキッとしてしまう。

「何?ずっと、オレの方を見てるけど」

「えっ!?いえ、何でもないです。すいません!」

マズイ、マズイ。

まさか、『カッコよかったんで、みとれてました』なんて言えない。

誤魔化すようにお決まりの手帳とペンを取り出すと、姿勢を直した。

「面白いな、陽菜ちゃんは。確か、オレたちの10歳も年下なんだって?ホント、あいつも年下好きだよな」

え?

今の言葉、聞き流していいのかな…。

『ホント、あいつも年下好き』って、まるで今までの彼女がそうだったみたいな言い方にも聞こえるんだけど。

「あっ、でも、告白したのはわたしからなんです」

なんて、混乱状態のわたしは、そんなフォローを入れていたのだった。
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