優しいカレの切ない隠し事


それからは、記事の仕上げや修正、それに印刷会社との擦り合わせ等々があり、ようやく落ち着いた時には、午前4になっていた。

「さすがに二晩続けて徹夜はキツイな」

圭介は給湯室で栄養ドリンクを飲みながら、わたしに苦笑いを浮かべる。

「一晩分は自己責任だけどね」

意地悪く言うと、圭介は吹き出した。

「そうだな。自己責任。それより、研修どうだった?」

「うん、為になったよ。涼太さんて、凄くカッコイイ人なんだね」

どんな反応をするだろう。

それを知りたくて、わざと『カッコイイ』という言葉を使ってみた。

すると、圭介はぎこちない笑顔を浮かべて言ったのだった。

「そうだよな。カッコイイよな。涼太の研修は為になるから、また教えてもらえたらいいよ」
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