優しいカレの切ない隠し事


わたしに会いたいって…。

ストレートに言われると、気恥ずかしくて返事が出来ない。

「陽菜のうちへ行くから待ってて」

「えっ!?わたしのうちって、本気なの?」

「本気だよ。じゃあな。待ってろよ?」

「ええ〜!?ちょっと…」

戸惑うわたしを無視して、圭介は電話を切った。

一年近く付き合って、こんな圭介は初めてな気がする。

会いたいって言って、本当に会いに来るなんて…今まであったっけ?

そうか、思い返してみれば、だいたいわたしが圭介のうちへいたんだ。

だから、わたしに会いに来る必要なんてなかったんだわ。

「それなら、たまには離れてみるのもいいのかも」

思わずニヤけてしまう。

だって、嬉しいから。

圭介が会いたいと言ってくれることも、本当に会いに来てくれることも…。
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