優しいカレの切ない隠し事
しばらくしてチャイムが鳴り、本当に圭介がやって来た。
カジュアルな服装で、ヘアスタイルも会社の時と違ってラフだ。
おそらく、シャワーを浴びてきたらしい。
「ったく、勝手に帰るなんて冷たいな」
圭介はドアの鍵を閉めると、わたしに近付いた。
「だって、あんまり気持ち良さそうに寝てたから」
ふわりと香る石鹸の香り。
圭介はいつだって、わたしの胸をドキドキさせる。
「そういう時は、陽菜もオレの隣で寝るんだよ。分かったか?」
わたしの唇に触れながら、穏やかな笑顔を浮かべる。
ドキドキが加速するわたしの願いを当ててみて、圭介。
お願い…。
「分かった?返事がないよ?」
「分かった…」
「よしよし、よく出来ました」
そして圭介の顔が近付き、唇が重なる。
ありがとう、分かってくれて。
わたしね、キスして欲しかったんだよ。