優しいカレの切ない隠し事
それで、気付かれなかったんだ。
「はい、花井さんもこのマニュアル通りに応対して」
「分かりました」
それは、朝一番で圭介が、みんなにメールで送った対応の仕方だった。
先輩編集者さんが、印刷したらしい。
これを見ると、該当の雑誌は今回の初姫神社の情報誌ではなかった。
「当たり前か。昨日、締め切ったばかりだもんね」
一体、どうしたというんだろう。
栞里さんらしくもない。
「昨日の雑誌の分も、チェックされてるみたいよ」
先輩編集者さんはガックリ肩を落とすと、デスクへ戻ったのだった。