優しいカレの切ない隠し事
18時、19時…。
「大丈夫かな?栞里さんたち」
時間はどんどん過ぎていくけど、一向に二人が帰ってくる気配はない。
得意先の数が多いのか、それともよほど
話が混み合っているのか…。
気になりながらも仕事を終え、ビルを後にする。
昨日の夜は、圭介が会いたいと言ってくれた。
だから、今夜は圭介のマンションへ行こうと思ったけれど、とてもそんな雰囲気じゃない。
「でも、このまま帰ったって、気になるだけだし…」
どうしよう。
電話をするわけにもいかないから、事情を聞くことも出来ないな…。
「だけどやっぱり…気になる!」
圭介は、きっと会社でないと教えてくれないはずだ。
プライベートではオフモードになるもの。
ここは、会社に戻って事情を聞こう。
わたしだって、二人の力になりたいから。
身を翻したわたしは、ビルへと走ったのだった。