優しいカレの切ない隠し事
ああ、そう。
それが本音なの。
わたしには、栞里さんと同じには出来ないって…。
「分かりました。それならミスをしない様に、先方とより協力して頑張りますから」
ほとんど強引に話を切り上げると、会釈をしてデスクに戻った。
そんなわたしの態度に、圭介はというと、あからさまに不機嫌な態度でオフィスを出て行く。
「陽菜ちゃん、課長と何かあったの?珍しく、課長ってば公私混同してるみたいだけど」
囁くように声をかけてきた栞里さんに、さらにイライラが増す。
公私混同してるって、よく分かること。
栞里さんになら、圭介の変化が見て取れるってことなのね。
「栞里さんには、関係のないことですから」
本当は、こんな言い方をしたくない。
栞里さんに、突き放す様な言い方は…。
だけど、栞里さんを見ることすら、今は辛すぎて、わたしのことも圭介のことも、何も気付かないで欲しいと思ってしまった。