優しいカレの切ない隠し事


呆気なく特集が決まったことに目を丸くすると、先輩編集者さんが笑いながら言ったのだった。

「いい、いい。宿紹介はこの季節には恒例だし、それに陽菜ちゃんのパワーで素敵な宿を見つけてきて」

「はい!頑張ります!」

わたしの言葉に、みんなが拍手をしてくれる。

この一体感が、何とも心地いい。

前職とは大違いだ。

「それに、松山課長がサポートしてくれるから無敵でしょ?」

先輩編集者さんのツッコミを圭介はわざと無視して、「さーて、次の話に移ろうか?」と、話題を変えている。

それがますます周りの笑いを誘い、さすがの圭介も口角を上げて微笑んだ。

こんな雰囲気が大好きで、今は最高に幸せ。

仕事もプライベートも充実している日々は、生まれて初めての経験だ。
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