優しいカレの切ない隠し事


空気が重苦しくなったと、聖也も気付いたのか、話題をすぐに変えてきた。

「それにしても、松山課長ってスゴイな。相当切れる人なんじゃないのか?」

「えっ!?あ、うん。だけど何で?」

突然、圭介の話を振られ、またもやドギマギだ。

「プレゼンだよ。松山課長がピカイチだったもんな。確か、留学経験もあって、語学が堪能なんだろ?いつかは海外進出をしたいオレには、憧れだな。それにイケメンだし」

「へぇ」

わざと気のない返事をしたけど、気を緩めると顔がニヤけそうだ。

「課長って既婚者なのか?」

「ううん。確か、独身よ」

圭介と実は付き合ってるって、何も今言わなくてもいいか。

ケンカ中でもあるし、これから先、タイミングのいい時に話そう。

「そっか。それなら、かなり女の倍率高そうだな」

興味津々な聖也に、わたしは苦笑いを返すのが精一杯。

それくらいに、顔がどこまでもニヤけそうだった。
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