優しいカレの切ない隠し事
「よーし!これで一度記事を作ってくれないか?」
「うん、分かった。出来たら連絡するね」
資料を整理し、カバンに収める。
帰ったら、圭介に報告しよう。
それで話すきっかけを作ればいい。
「それじゃあ、陽菜またな。それと、プライベートの方に連絡してくれよ」
玄関まで送ってくれた聖也は、最後まで笑顔を見せてくれる。
「うん。分かった。近いうちに連絡するね」
その時は、圭介のことを話す時だわ。
聖也に笑顔を返し車に戻る。
「どうしようかな…。一応、圭介に戻る報告をしておこうかな」
帰ると言っておけば、待ってくれてるだろうし。
それにしても、久しぶりに話すからドキドキする。
そんな自分に苦笑いをしながら、会社に電話をした。
すると、
「松山課長なら、初姫神社に行かれてるわよ」
と、電話に出た編集者さんに言われたのだった。
「初姫神社?」
前回の取材の残りか何かかな?
どうせ車だし、帰り道に寄ってみようか。
エンジンをかけアクセルを踏むと、車を走らせたのだった。