優しいカレの切ない隠し事
「今日もいい天気」
青空が広がっていて、撮影にはもってこいだ。
やっぱり取材の残りがあったに違いない。
車で上がっていくと、前回停めた場所に、うちの社用車があった。
どうやら、圭介が乗って来たらしい。
はやる気持ちを感じながら車を降りてみるも、圭介の姿は見えない。
「どこだろ…。また絵馬のところかな?」
どことなく気になるあの場所にゆっくり向かうと、人の声が聞こえてきたのだった。
「それにしても、懐かしいな。ここは」
それは紛れもない圭介の声で、誰かと会話をしている。
誰だろう。
そっと覗くと、それは栞里さんで、わたしの心臓は跳ね上がった。
何で、圭介と栞里さんが…?
二人で何の用なの?
それに今の口調からだと、二人は以前にもここへ来たことがある様だ。
息を飲み、二人のやり取りを黙って見てみる。
圭介と栞里さんは、お互い見つめ合っていて、どこか懐かしそうな表情をしていた。
「本当だね、圭介。だけど、あの時書いた絵馬の願いは叶わなかったのよね…。もちろん、悪いのはわたしだけど」