優しいカレの切ない隠し事
絵馬に書いた願い?
「栞里、ちゃんと覚えてたんだ?あの時書いたよな、確かに。 結婚出来ますようにって」
懐かしそうに笑う圭介を見て、ズキンと胸が痛む。
結婚を願っていた?
ウソでしょ?
だって圭介は、聖也がわたしにプロポーズをしたことに腹を立てていたくらいなのに…。
自分だって同じじゃない。
すると、今度は栞里さんが照れ臭そうに微笑んだのだった。
「うん。あの時は、本当に圭介と結婚出来ると思ってた。でもその未来を、自分で壊しちゃったんだけど」
「それはオレのせい…。栞里を失ったのは、全てオレのせいなんだよ。それなのに、全然成長してないんだよな。情けない」
「圭介…」
顔をそらす圭介は、まるで今にも泣きそうだ。
そんな姿を見るのは初めてで、動揺する自分がいる。
わたしには見せない、圭介の意外な一面…。
「なあ、栞里。もしあの頃、オレたちがうまくいっていたら、今と違う未来があったと思うか?」