優しいカレの切ない隠し事
ちょっと待ってよ。
何、その質問は。
それって、今を後悔してるってこと?
わたしより、栞里さんと未来を作りたかったてことなの?
息を飲むわたしは、物陰から二人を伺うただの怪しい人だ。
だけど幸い、今この神社の参拝者がいなくて助かっている。
とても、この場を離れることなんて出来ないから。
栞里さんは心配そうに圭介を見上げると、優しく頬に手を当てた。
「圭介、わたしの前では弱音を吐いていいんだよ?わたし、圭介の気持ちを分かってるから」
「栞里…」
栞里さんを見つめるように、圭介はしばらくその視線を動かさなかった。
そして、ポツリと呟いたのだった。
「どうしていいか分からないくらいに苦しいんだ」
そう言った圭介は、栞里さんに顔を近付け、その唇にキスをした。