優しいカレの切ない隠し事
「何で、そんな言い方をするの?」
とても顔を合わせられなくて、視線ごとそらしたまま、圭介の言葉に噛み付いた。
だいたい、盛り上がっていたのはどっちよ。
圭介は結局、自分のことは棚に上げてるんだ。
「陽菜が、オレの言うことを聞かないからだろ?で?聖也さんとは何の話をしたんだ?」
「仕事に決まってるじゃない。それより、圭介こそ今日は何してたの?」
キスの目撃を、思い切って言ってしまおうかとも思うけど、ここは職場。
これ以上、この場所で修羅場はダメだ。
「何って、オレも仕事だよ。それより、今夜話があるんだ。車で来てるから、うちへ一緒に帰ってくれないか?」
「え?話?」
「ああ。いいだろ?最近、全く会話も無くてすれ違ってばかりだったから…」
「う、うん…」
心臓がバクバクする。
さっきまでの威勢の良かったわたしの心は、一気にしぼんでいった。
今夜、圭介から何を言われるんだろう。
まさか、別れたいって言わないよね…?