右隣の彼

恋愛マスターは彼氏なし

「津田先輩おはようございます」
「おはよう~」
岸田滋28歳・・・この男が私の部下で3つ年下
右隣の席にカバンを置くと駅前のコンビニで買ったコーヒーを置き
勢いよく座る。
この男どういう訳かいつも無駄に元気で人懐っこい・・・それでいてイケメン。
社内でもかなり人気があるが、ざ~んね~ん。
彼女がいるんだよね~かわいい彼女が・・・
私はうっとおしいくらいにその彼女の、のろけ話を聞かせれるのだけれど
同じくらい悩み相談まで受ける。
喧嘩した翌日とか忙しくて会えない日が続くと
必ずと言っていいほど・・・せんぱ~~いって泣きつく
正直いい迷惑です。

男のくせに・・・

しかも私の事をなぜか恋愛の達人みたいに思っている。
きっと私が岸田君に自分のプライベートな事を一切話さないから
勝手なイメージを作っているのだと思う。
本当の私は彼氏いない歴2年。
しかも元彼と言うのが隣の部署の岡島課長・・・5つ上で妻子持ち
そう・・・不倫だった。
妻とは別れるって言ってたのに私の生理が遅れた時に
もしかしたらデキたかもしれないと告白した時の彼の反応を見て
思いっきり目が覚めた。
うろたえちゃって何度も何度も本当に?どうしよう~産むの?
・・・何が妻とは別れるよ。
その気がないと言う事をあの人の表情一つでわかってしまった。
実際はそれから2日後に生理が来たんだけど
それから恋愛はしていない。
無理して恋愛をする必要はないと思ったし
あっこがいるから大丈夫と思っていたからだ。
だけど昨日の結婚宣言は正直ショックだった。
知らないうちに大恋愛してたし・・・・
私なんて家と会社の往復だけの生活

それなのに右隣のこの男には私のプライベートが潤ってる様に見えるのだから
今さら干からびてるとは言えなかった。


パソコンの電源を入れながらちらっと右を見ると思いっきり目があった。
「な・・なによ!」
明らかに私が岸田君を見る前から私を見ていた。
「昨日何かありました?」
す・・鋭すぎる
「別に・・・ないわよ。っていうかなんでそう思うのよ」
プライベートは一切話さないと決めているから
昨日の事を話すつもりはないが、そんなに顔に出ていたのかと
再び視線をパソコンに向けたが、岸田君からの視線を思いっきり感じる。
イケメンの視線に耐えきれなく仕事しなさいよって言おうとしたが・・・・

「今日の先輩、顔が少しむくんでるんでお酒を凄く飲みたくなる事でも
あったのかなーって思ったんですよ。なんなら僕が話聞きますけど・・・」
「結構です!恋に恋する男子に話すことなんかないから・・・仕事するよ!
今日、打ち合わせはいってるのわかってるわよね!時間厳守頼むよ」

「恋に恋する男子って・・・相変わらずきっついな~恋愛マスター」
岸田君は口を尖らせながらカバンを足元に置き渋々仕事を始めた。

何が恋愛マスターよ。
私は普段より荒々しくキーボードを叩いた。
そんな私を岸田君が面白そうに見ているとは知らずに・・・・
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