右隣の彼
「はぁ~~~」
気が重いくせに自分がわからなくなってきた。
片手にスーパーのビニール袋に食材をたくさん入れ
もう片方でスマホを持ってお兄さんから送られたメールの画像と
にらめっこしながらとあるマンションを見上げた。
「ここ・・か」
5階建のマンションだ。
オートロックじゃない誰でもウェルカムなマンションだった。
岸田くんの部屋は3階。
エレベーターに乗り込み3を押すとゆーっくりと扉が閉まる。
扉と同じくらいエレベーターはゆっくりと上昇する。
3階なのに6階くらいまで登ってそうなほどゆっくりだった。
3階につくと、表札を確かめるように1件1件ゆっくりと進み
305号室に岸田の表札を発見。
お兄さんから鍵の隠し場所を教えてもらっていたので
その場所を見ると・・・・あった。
自分の家以外の家の鍵を開けるのは何年振りだろう。
昔は彼氏の合鍵持ってたよね・・・って言ってる場合じゃない。
合鍵じゃないし・・・無理やりだし
心の中で呪文を唱える様に私はゆっくり鍵を差し込みまわした。

ガチャ
おおお!開いたよ開いた・・・・って開いてあたり前なんだけどね

そして私は何年振りかに男の部屋へ・・・
じゃなくて後輩の家の扉を開けたのだった。
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