右隣の彼
私は立ち上がると買い物袋を持ってキッチンへ
冷蔵庫を開けると案の定、料理の作れそうな食材は
何も入ってなかった。
「本当に・・・何にもないんだ。私じゃなくて彼女にでも
 作ってもらえって―の」
ぶつくさ言いながらも冷蔵庫に食材やドリンクを入れると
腕をまくりをした。
米はかろうじてあったので土鍋で米を炊く。
少ない量なら土鍋の方が断然早く炊けるからだ。
一応?病人なので水を多めにしてお粥とまではいかないけど
やわめにした。

たくさん作っても岸田くんのさっきの様子を見てると
とてもたくさん食べれる様には見えないので
翌日でも食べれそうなものを作って
買ってきた保存用ケースに出来上がった料理を入れて冷蔵庫にいれる。

本当はね・・・これ彼女の仕事なんだけど・・・
でも冷蔵庫の中をのぞいてわかった。

彼女は料理をしない!

和食を中心に作って冷蔵庫に入れたが
こんなの彼女が見たらいい気分じゃないよね。
なに?このばば臭い料理は~なーんて言われそうだわ。

何だか虚しくなってきた。
もし、岸田くんがこのまま起きないのなら
メモだけ残して帰ろう・・・
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