お姫様の召使の言いなり

拒否権は無い

扉がゆっくりと開けられ、中の様子が明らかとなる。



そこはどうも寝室らしかった。



無駄に広いその部屋は、むしろ空間と言った方が適切で、アンティーク調の家具で揃えられている。



なかでも目をひいたのが天蓋付きベット。



別名お姫様ベット。



キングサイズの大きなベット全体に淡いピンクのカーテンがかかっている。



そこに彼女は座っていた。



カーテンにかくれて顔がよく見えない。



カーテンと同じ淡いピンクの可愛らしくも豪華で高そうなドレスをまとっている。



彼女はゆっくりと、勿体ぶるように立ち上がった。



綺麗な所作。



立ち上がってみて分かったけど彼女はとても小柄だ。



カーテンをめくり、ドレスからハイヒールを覗かせながらこっちにやってくる。



ぼくの真ん前、1メートルくらい先でぴたりと止まった。



端整な顔が目の前にある。



日本人とはあきらかに違う顔立ち。



陶器みたいに真っ白で艶めかしい肌。



高い鼻に透き通ったスカイブルーの瞳。



控え目で小さな唇と、それとは対照的に自己主張の激しいまつ毛。



金髪も透き通った金髪で、あまりキツい印象を持たせない自然さ。



くるくるの縦巻きヘアーは、肩までで少し短め。



フランス人形か天使か。


いずれにせよ、“お姫様”と言う言葉が似合いすぎるくらいの美少女だった。




< 11 / 21 >

この作品をシェア

pagetop