君の名前
「名前を教えて欲しいんだけど」
「あ、夜也 ルカちゃんです!」
なかなか答えない
王子様からの質問に
近くにいた女子が答える。
ご丁寧に苗字までつけて。
私はその光景に曖昧に
微笑みながら周りを見た。
クラスのみんなが
私たちを見てる。
『どうしてルカちゃんが
声をかけられるの?』
『普通の女の子なのに』
だいたいがこんな感じだろう。
私はかけている赤メガネを
くいっとあげて席を立つ。
「ごめんなさい
少し用事を思い出したので
また今度お願いします」
王子様は驚いた様子で
「え…?」なんて言っているが
私は構わずクラスをでた。
朝のHRまで5分。
用事なんてあるはずない。
それは誰しもが
思っていることだと思う。