貴方の心フル受信
奴は私のカバンを持って先に教室から出ていってしまった。
「ま、待ってよ!」
カバンを取り返すべく、奴の後を追いかけた。
「カバンぐらい持てるよ」
「家、どこだ」
いやいや、話がかみ合っていませんが?
「いくぞ」
「言われなくても行くわよ!」
カバンを取り返すのはいったん諦めて、悪態をつきながら奴と歩いた。
心が読めないうえに、私の嫌いなタイプの七瀬と二人で帰らなければいけないなんて、考えてもみなかった。
口ではあんなこと言ってるけど、実は優しい奴なのかもしれない。
歩くスピードも、さりげなく私に合わせてくれている。
やっぱりちょっと見直したかも。