貴方の心フル受信
「昨日七瀬君と仲良く帰ってたでしょ~!見たよぉ?」



 次の日、教室につくなり未亜に捕まって言われた言葉。



『仲良くねぇよッ!』



 心でそう叫んで、未亜を睨んだ。


「仲良くない。遅くなったから送ってくれただけ」


「うわ!七瀬君って、優しいんだね」




 優しい…のか?


 未亜の中にある、奴のイメージをぶち壊してやりたくなる衝動に駆られたが、やめた。


 もうこれ以上何もいわないのが身のためだ。



「あ、噂の七瀬君だよ!」


 未亜が見た方向を見ると、奴と目があった。




「おはよう、七瀬君♪」


 語尾には『♪』がついているようなほどうきうきした声で未亜は奴に挨拶をした。



「おはよう」



 あ…。

 奴が笑った。

 『未亜』を見て。


 なんだ、笑えるんじゃん。

 私には馬鹿にしたようにしか笑わないくせに。

 何故だか胸が『ズキン』と痛んだ。







 結局私はそのまま、奴に挨拶をしなかった。
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