キヲクの片隅
「ねえ、優人と翔は昔から一緒みたいだけど、中学の頃とか一緒に花火大会行ったりしたの?」
舞花の素朴な疑問。
僕はそれを聞き、黙る。
体が少し固まる。
「…あ、あぁ!もちろん行ったよ!」
そう言いながら僕の肩に腕を回してぐっと体を近付ける翔。
「こいつ花火見に行くの忘れててさ、後から遅れて来たけどな!」
な、優人!と翔が僕に振ってきた。
「うん、あの日はすっかり忘れてたよ」
僕は笑いながら翔に合わせた。
「ふーん、そうなんだ」
それと同時に昼休み終了五分前のチャイムが鳴った。
「あ、数学の教科書忘れた!借りてこなきゃ!」
そう言って舞花は隣のクラスまで駆けていった。