キヲクの片隅

此処に居る理由


「…と」

誰かが僕を呼んでいる。

「優人!」

大きな声にビックリして僕はパッと目を開いた。

「お前制服のままじゃん。寝てたの?」

あれ?翔がいる。
僕は慌てて時計を見た。

さっき時計を見た時間より二時間以上たっていた。

「あぁ、ごめん。寝てたみたいだ」

僕は体を起こして翔に謝る。

「ケータイ出ないし鍵開けっぱなしだし、心配させるなよ」

少し怒った顔の翔。
悪いことをしてしまったな。

「ん、ごめんな」

「…優人、泣いてたのか?」

「え?」

近くにあった鏡で自分の顔を見ると確かに泣いたような跡があるし、目も少し赤くなっている。

「怖い夢でもみたのかー?」

翔はニヤニヤしながらからかってきた。

「まさか」

ははっと、僕も少し笑った。
きっと目にゴミでも入ったんだろう。

「とりあえず風呂、入ってこいよ」

「うん、そうする。適当にくつろいでて」

僕は衣装ケースから下着とバスタオルを出し、浴室に向かった。
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