キヲクの片隅
玄関を開けて部屋に入る。
翔が起きていた。
「おっかえり~」
僕に背を向け、寝転びながら朝のニュース番組を見ていた。
「はい、朝飯」
「まってました~」
ドサッと翔の目の前に袋を置くと、喜びながら漁っていた。
「俺これとこれ~。優人は俺の好みがわかってるな」
「ならよかった」
翔は甘党だから菓子パンとコーラで、僕は惣菜パンとお茶。
やっぱり食の好みは正反対だな。
僕達はテレビを見なが簡単に朝食を済ました。
「ごちそーさん。ありがとな、優人」
「どういたしまして。そろそろ行く?」
「おう、そうだな。ぼちぼち行きますか」
僕はジーパンに履き替え、白のTシャツにグレーのシャツを羽織った。
パパっと身支度を終え、アパートを出た。
「ゆうちゃん」と呼ぶ声を
僕は今も思い出していた。