キヲクの片隅
目的地に着き駅を出ると年明けに見た風景。
変わっていた事と言えば、沢山の木が緑色に衣替えしていたこと。
年末に来た時は寂しい風景だったから。
もう春なんだな。
じいちゃんちは駅から歩いて行ける距離だ。
翔と他愛のない話をしながら歩く。
古い家が建ち並んでいる細い道を進んでいく。
ざあっと風が吹き木の葉が揺れる。
すごく、気持ちがいい。
今住んでいる場所では味わえない心地よさ。
「俺一回家寄るから先に行ってて」
もうすぐじいちゃんちに着きそつな頃、翔がそう言い残して走っていった。
僕は一人でそのままじいちゃんちに向かう。
あれ?いつもと一本道を間違えたかな?
いつもならもう着いているはずな気がするが、僕はどうやら道を少し間違えてしまったらしい。
またぼーっとしていたのかな?
なんて考えながら散歩がてらそのまま歩いてみる。
あ、ここラーメン屋なんてあったんだ。
あとで翔と来ようかな。
雑貨屋かな?珍しい物が置いてありそうな雰囲気。
今度来てみようかな。
一本道が違うだけで色々な発見があるもんだな。
いつも真っ直ぐじいちゃんちに向かって行ってたからなんだか新鮮。
また少し歩く。
僕はピタリと足を止めた。
あれ、ここに神社なんてあったんだ。