キヲクの片隅
あまり大きくはないテーブルに翔と二人で腰を下ろす。
年始以来の家を少し見渡す。
平屋の一戸建て。
しかし敷地が広くて大きな庭がある。
少し離れた所には倉も建っている。
これぞ日本の家、といった造りだ。
夏になるとすべての戸を開けて、気持ちのいい風を堪能しながら昼寝をする。
特別なものは何もないが僕にはすごく至福の時なのだ。
「なあ翔。なんでさっきあんなにテンション下がってたんだ?」
神社からの帰り道、翔が少し浮かない顔をしていた理由が気になった。
「いや別に。なんもねーよ!」
ニカッと笑う翔。
どうも何かを隠している様に見える。
「…ほんとか?」
「お前が神社なんて似合わねーなって思っただけだよ」
「…そっか」
なんとなく納得いかなかったが、翔がそう言うならしょうがないか。
僕はほんとに小さく溜め息をついた。
多分、昔あの神社で何かあったんだろうな。
翔の様子を見てればなんとなくだけどわかる。
翔が話さないとゆうことは、きっと聞かなくてもいいことなんだろう。
きっと僕はあの神社でひどいことでも経験したんだろう。