キヲクの片隅
「できたぞー」
そう言いながらじいちゃんがおむすびと味噌汁、それに漬物を持ってきてくれた。
「お、うまそー」
翔はいただきます、と言ってから食べ始めた。
「じいちゃん、この漬物作ったの?」
「おーそうだ。自分で作ったのは美味しいからなあ」
「うん、美味しそう。いただきます」
味がしっかりついた漬物は、じいちゃんが握ってくれた塩むすびによく合っていてとても美味しかった。
「おぉ、そうだ。優人に翔くん」
「ん?どうしたのじいちゃん」
何か思い出した様にじいちゃんは言った。
「倉の中で探し物をしてたら荷物が崩れ落ちちゃってなあ。悪いが簡単に片付けておいてほしくてなあ。じいちゃん腰が痛くて」
「それはいいけど、何を探してたの?」
「んー。ばあさんとの思い出、といったところかな。すまんが頼むな」
じいちゃんはふんわり笑っていた。
じいちゃんからばあちゃんの話が出るのは久しぶりだな。
「その思い出の品は見つかったの?」
「あぁ、見つかった」
「そっか、ならよかった。じゃあ後で片付けとくよ。翔も手伝ってくれるか?」
「んあ?いーよ」
翔は口をもぐもぐさせながら返事をくれた。
じいちゃんがあんまり嬉しそうに笑っているもんだから、僕もつられて笑ってしまった。
片付けが終わったら思い出の品、見せてもらおう。