キヲクの片隅

愛した人


僕らはその後無言で倉の片付けを終わらせた。
翔はそのまま家へ帰っていった。

「また明日適当に迎え来る」

そう言い残して。

僕は外にある流し台で手を洗ってから家の中へ戻った。

「じいちゃん終わったよ。翔はそのまま帰った」

「ありがとうなあ、助かった。翔くんにもまたお礼言わんとなあ」

じいちゃんはまたお茶を飲みながらくつろいでいた。

しかしテーブルの上には手紙のような物と古びた白黒の写真。

「あ、これがばあちゃんとの思い出の品?」

「あぁ。そうだよ」

「見して」

写真には若き日の二人。
じいちゃんはばあちゃんの肩をしっかり掴んで幸せそうに寄り添っている。

はは、じいちゃんなかなか格好いいな。
ばあちゃんも和風美人って感じですごく綺麗だ。

手紙を手に取る。
少し文字が霞んでしまっていてうまく読めない。

わかる範囲で読んでみる。
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