キヲクの片隅
夜の神社
外に出ると夕焼けで赤く染まっている町が広がっていた。
小さな町だ、外に出ている人はもう数えられる位しかいない。
少しだけ肌寒い。
僕は両手をパーカーのポケットに入れて歩く。
自然と体はあの神社へと歩んでいった。
神社の前で一度立ち止まる。
もう、今日はいないのかな…
上へと伸びている石階段を眺める。
赤く染まった神社はまた一味違った景色を生み出していた。
昼間は石階段の途中までしか行ってなかったし、もっと奥まで歩いてみようかな…
僕はゆっくり一段一段、階段を上って行く。
やっぱりなぜか落ち着く。
一歩前へ踏み出す度に心がフワッと軽くなって、もっともっとその先へ進みたくなる。
どんな景色が待っているのだろうか。
自然と簡単な鼻歌を刻んでしまう。
木々に守られている様に続く石階段を登りきった先には石で作られた古そうな鳥居。
立派とは言えないかもしれないが、その場所に力強く建っている。
鳥居のすぐ奥にはあまり大きくはない本殿。
その姿を目にした瞬間目眩がした。
足がふらつく。
頭を押さえて目を瞑る。
ズキン…
頭が割れそうに痛い。