キヲクの片隅
「魂とゆうのは生き物の心の塊なんです。気持ちをちゃんと持っている。例え体が燃え尽き無くなってしまっても、今我々と一緒の時間を共にしているのです。…一般の方には見えないかもしれないですけどね」
「…」
「多くの人は後悔を持ちながら死んでゆきます。生前果たせなかった夢や願いを心に抱いたまま死んでしまう。その想いを抱いたまま、この現世をさ迷っています。しかしそれは残された側の人間も同じなのです」
淡々と話す神矢さん。
僕はその声と姿に目が離せられなくなる。
「あの時ちゃんと想いを伝えていれば。あの時もっと大切にしていれば…。人間は失って気付くことが多いかもしれないですね…」
星が広がる空をずっと見つめながら、神矢さんはどこか切なそうな表情をしていた。
「…そうなんですか」
しかしどうもしっくりこない僕がいる。
神矢さんの話に説得力があるのはわかる。
だけど何故か信じられない。
「…あまり信用できるような話ではないですよね」
見透かされてしまった。
僕は少し慌ててしまう。
「え、いや…そんなことは…。なんだか物語の様な話だなと」
「いいんですよ。このような話を信じるかどうかは人それぞれなんですから」
神矢さんは優しく笑ってくれた。
「優人さん。現世に残っている魂には最後の期限が与えられる。と言ったら信じますか?」
「期限…ですか?」
「信じるか信じないかは優人さん、あなた次第ですが、お話をしても構いませんか?」
神矢さんは僕の目をチラッと見て、様子を伺っている様だった。
じいちゃんの話に何か繋がるのだろうか。
「…僕で良ければ聞かせて下さい」