キヲクの片隅

「あのね、八月に花火大会あるの!これまだ見たことないから一緒に行こうよ!」

舞花は持っていたスマホを僕の目の前にずいっと近づけて、花火大会の詳細が載っているサイトを見せてきた。

「うん、全然いいよ。じいちゃんちから帰ってきたら一緒に行こうか」

僕は少し笑いながら答えた。

「ほんと?やったあ!」

胸の前で手を組みながら喜ぶ舞花。
舞花はイベントをとても大事にする子だ。

「高校最後の夏休みだからさ、優人とたくさん思い出作りたいんだ」

少し恥ずかしそうに言う舞花がなんだかいつもより女の子に見えて、

「思い出、増えるの楽しみだね」

僕はそう言いながら、よしよしと舞花の頭を撫でた。
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