キヲクの片隅
「翔は夏休みなにするのー?」
舞花は翔の方に顔を向けて問いかけた。
舞花はこの高校に入った時、見た目の派手な翔が苦手だったらしい。
しかし僕と付き合ってから段々と翔に心を開いてくれた。
僕は学校ではほとんど翔といるし、二人が仲良くなってくれてほんとによかった。
「夏休みかあ~。気が早いな舞花ちゃん!」
「だって高校最後の夏休みじゃん。楽しまなきゃ!八月に優人と花火大会行く約束したんだ!」
嬉しそうに話す舞花に、翔も少しほっこりしたのか笑っていた。
「そっか、よかったな。優人がこんなに舞花ちゃんに愛されてて俺は涙が出そうだよ」
翔はオーバーに泣く振りをする。
うん、確かに。
舞花は俺のことをすごく好きでいてくれる。
だから僕も舞花のことは大事にしているつもりだ。
言葉なんかなくても、舞花には伝わってると思っている。
「なんなら翔も奈央ちゃん連れてきて一緒に行こうよ!」
奈央とは翔の彼女。
違う高校に通っているのであまり会ったことはないのだけれど、とても大人しい印象がある。
騒ぐのが好きな翔に静かな奈央ちゃん。
正反対の二人だか、それがプラマイゼロになっていて丁度いい。
僕と舞花もそんな風に見えていればいいな。
「奈央にも聞いてみるよ。あとでメールしとく」
「うん、よろしくね!」
僕らみたいな年代のカップルは、イベント事は友達と楽しくとゆうのが多いのかもしれない。
僕も二人きりが絶対いいとは思わないし、翔みたいな奴がいれば二人でいるよりも盛り上がる。
舞花は翔と同じでわいわいやりたいタイプだ。
楽しそうにする二人を見ているのは飽きないし、僕も楽しくなる。