キヲクの片隅

「翔は夏休みなにするのー?」

舞花は翔の方に顔を向けて問いかけた。

舞花はこの高校に入った時、見た目の派手な翔が苦手だったらしい。

しかし僕と付き合ってから段々と翔に心を開いてくれた。

僕は学校ではほとんど翔といるし、二人が仲良くなってくれてほんとによかった。

「夏休みかあ~。気が早いな舞花ちゃん!」

「だって高校最後の夏休みじゃん。楽しまなきゃ!八月に優人と花火大会行く約束したんだ!」

嬉しそうに話す舞花に、翔も少しほっこりしたのか笑っていた。

「そっか、よかったな。優人がこんなに舞花ちゃんに愛されてて俺は涙が出そうだよ」

翔はオーバーに泣く振りをする。

うん、確かに。
舞花は俺のことをすごく好きでいてくれる。

だから僕も舞花のことは大事にしているつもりだ。

言葉なんかなくても、舞花には伝わってると思っている。

「なんなら翔も奈央ちゃん連れてきて一緒に行こうよ!」

奈央とは翔の彼女。

違う高校に通っているのであまり会ったことはないのだけれど、とても大人しい印象がある。

騒ぐのが好きな翔に静かな奈央ちゃん。
正反対の二人だか、それがプラマイゼロになっていて丁度いい。

僕と舞花もそんな風に見えていればいいな。

「奈央にも聞いてみるよ。あとでメールしとく」

「うん、よろしくね!」

僕らみたいな年代のカップルは、イベント事は友達と楽しくとゆうのが多いのかもしれない。

僕も二人きりが絶対いいとは思わないし、翔みたいな奴がいれば二人でいるよりも盛り上がる。

舞花は翔と同じでわいわいやりたいタイプだ。

楽しそうにする二人を見ているのは飽きないし、僕も楽しくなる。
< 9 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop